全社戦略の場合、事業を行う領域(ドメイン)と差別化できる企業の力(コアコンピタンス)が重要な要素となります。
ドメイン
ドメインを決定するということは事業を行う領域を決めるだけでなく、事業を行わない領域も決めることです。多角化を行ってドメインを広げるといったこともありますが、安易に広げることは資源が分散されるため慎重になる必要があります。競争が厳しい場合には最も有利な領域に特化しなければならないこともあります。
ドメインを決定するときは、製品やサービスで行うだけでなく、市場やニーズで定義することもできます。富士フイルムは写真フイルムで培ったコアコンピタンスを活かして化粧品など他の事業への参入に成功している。カゴメはトマトケチャップやトマトジュースなどのトマト加工事業に特化している。IBMはPC販売事業から企業を相手とするソリューション事業へ変革に成功している。
ドメインの決定には、自社のコアコンピタンスが十分に発揮できるかどうかと、市場ニーズの変化を考慮する必要がある。
コアコンピタンス
コアコンピタンスとは、ゲイリー・ハメルとブラハラードが”The Core Competence of the Corporation”で、”a harmonized combination of multiple resources and skills that distinguish a firm in the marketplace”と定義し世に広まったものです。訳すと、「市場で企業を際立たせる複合的な資源と技術の融合された組み合わせ」ということになります。
コアコンピタンスが継続的に競争有利性を発揮するためには、次のような特徴を持つ必要があります。
希少である
コアコンピタンスは希少(Rare)である必要があります。さもなければ競合企業が簡単に実施可能だし、何の有利性を生むこともできません。
顧客価値がある
コアコンピタンスは顧客に価値(Valuable)を生み出す物でなくてはいけません。または組織のプロセスの効果と効率を継続的に改善するものである必要があります。これにより継続的に競争力を維持できます。
まねができない
コアコンピタンスは競合企業に簡単にまねのできるものではいけません(Non- or imperfectly imitable)。
置き換えられない
コアコンピタンスは継続的に競争力を生み出すためには、他のコンピタンスによって簡単に置き換えられるものではいけません(Non-substitutable)。
移転できない
コアコンピタンスは移転しづらい(Non-transferable)必要があります。これはある意味まねができないというのと同じところがあります。
耐久性がある
コアコンピタンスは耐久性(Durable)がある必要があります。競争優位性を長期にわたって維持できるかは、コアコンピタンスの価値が低下する、または廃れる速度に依存します。技術の進歩が速い分野では、コアコンピタンスの劣化も速いことになります。名声やブランドといったコアコンピタンスは耐久性が高いです。
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