「当たり前」という言葉は、使う側からすると非常に便利なのですが、聞く側からすると背景とか文脈がはっきりしていないと、意味をくみ取るのに苦慮することになります。そもそも曖昧で主観的な表現ですので、ビジネスの場では極力使うべきではない言葉の一つです。
辞書的には2つの意味がある
辞書では2つの意味があります。1. そうあるべきこと、そうすべきこと。2. 普通のこと、ありきたり。
1の意味では、色々と選択肢がある中、これを選ぶべきだということで、2の意味では、結果としてこれになることが多いことになります。
曖昧で主観的な言葉で、英訳するのも大変
2つの意味で共通して言えることは、曖昧で主観的な感覚をもとにしている言葉だということです。例えばランチの話をしていて、同じ日本人でも田舎の村に住んでいる人の当たり前と、都心のタワーマンションに住んでいる人の当たり前は当然違ってくるのは想像しやすいと思います。
この曖昧さや主観的な感覚や背景を、大抵の場合同じ日本人として何となく理解できなくはない訳ではないにしても、それを言葉で説明するのは大変です。これが英訳する場面ではそのまま表面化してしまいます。
Expectedとか、obviousとか雑に訳すこともできますが、大抵は理解されませんので、その背景にあるニュアンスとかを補足するのですが、至難の業です。結局自分も理解していなかったことに気が付くことも度々あります。
なぜかビジネスの場で聞こえる
「当たり前のことを当たり前にできるのが当たり前だ」とかまで酷くないにしても、「当たり前」という言葉をビジネスの場でもよく耳にします。少なくとも理系な人はこのような曖昧な言葉は嫌うはずなので、濃い目の文系の方が使っているのだと信じていますが、本当によく耳にします。
一つ気が付いたことは、「当たり前」の裏に「特別な何か」があって、それを追い求めるあまり「特別な何か」じゃないもの、その極みにないもの全て「当たり前」と言っている節があったりします。でもそれは辞書的に正しい意味ではありません。
まとめ
統計を取っていないので定かではないですが、たぶん文系で年配な方に「当たり前」という言葉を乱用する傾向があるように見受けられます。聞いている方からすると非常に混乱するし、喋っている本人は辞書での意味を正確に理解していないと思われます。
もしも「当たり前」と言われて、困惑してしまったのであれば、それはあなたのせいではなくて、言った本人のせいである可能性が非常に高いです。言葉は相手に伝えられなければ、全く意味がありません。逆に相手に話すときに安易に「当たり前」は使わないように、相手に的確に伝わる言葉を選択するようにしたいものです。
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