ISO/IEC 25010は、ソフトウェアの品質モデルを定義する国際規格であり、品質特性の使用性(Usability)には、以下の6つの品質副特性があります。
適切度認識性(Appropriateness recognizability)
適切度認識性は、ユーザがシステムの目的や機能、使用方法を理解できるかどうかを表します。具体的には、操作方法や機能の説明、アイコンやラベルの適切さ、コンテキストメニューの提供、ユーザマニュアルの存在などが含まれます。適切度認識性が高いシステムは、ユーザが操作を簡単かつスムーズに行えるため、生産性が高くなります。
習得性(Learnability)
習得性は、ユーザがシステムの操作方法を習得するために必要な時間や労力を表します。具体的には、ナビゲーションの直感的さ、コマンドの覚えやすさ、エラーメッセージの明瞭さなどが含まれます。習得性が高いシステムは、ユーザがシステムをより迅速に利用できるようになります。
運用操作性(Operability)
運用操作性は、ユーザがシステムを正しく効果的に使用するために必要な操作の容易さや正確性を表します。具体的には、エラー回避の仕組み、コマンドの一貫性、データ入力の正確性、作業フローの効率性などが含まれます。運用操作性が高いシステムは、ユーザが業務をスムーズに進めることができるため、作業効率が向上します。
ユーザエラー防止性(User error protection)
ユーザエラー防止性は、ユーザがシステムを誤った操作をした場合に、エラーが発生することを防止するための機能を表します。具体的には、操作の取り消し機能、エラーメッセージの表示、データ入力の正確性の検査、データ保護の機能などが含まれます。ユーザエラー防止性が高いシステムは、ユーザが誤った操作を行っても、システムが正しく動作するため、生産性が維持されます。
ユーザインターフェース快美性(User interface aesthetics)
ユーザインターフェース快美性は、ユーザがシステムを使用する際に、視覚的に魅力的であること、直感的でわかりやすいことが求められます。ユーザインターフェースが美しくデザインされ、直感的で使いやすい場合、ユーザはシステムを好む傾向があります。これにより、ユーザはシステムの使用を継続する可能性が高くなります。さらに、システムのデザインが美しくない場合、ユーザがシステムを使用する意欲が減少する可能性があります。
アクセシビリティ(Accessibility)
アクセシビリティは、障害を持つ人や高齢者などの、利用者の多様性を考慮したシステムの利用性を指します。アクセシビリティが高いシステムは、異なるユーザにとって、簡単に使用可能であることが求められます。たとえば、視力に問題があるユーザは、大きなフォントを使用したテキストを好みます。また、聴覚に問題があるユーザには、音声による代替手段が必要です。アクセシビリティが高いシステムは、より広範なユーザに利用され、より高い利便性を提供することができます。
まとめ
以上が、ISO/IEC 25010の使用性品質特性の6つの品質副特性の説明です。これらの品質副特性は、システムの使用性を向上させ、利用者の満足度を高めるために重要です。それぞれの品質副特性を適切に考慮することで、優れた使用性を持つシステムを設計・開発することができます。
コメント