自宅に置いているサーバーが増えてきてラックマウントのサーバーラックを増設する必要があったのですが、好みの奥行のラックがないので自作することにしました。奥行きが70cmほど欲しかったので、精度が出せるアルミフレームを使うことを選択しました。
このラックは特に加工は必要なく、モノタロウとかで買ってきた部材を組み立てるだけで、誰でも再現可能ですので紹介したいと思います。
アルミフレームとは
ちょっとした棚だったり、ケースなんかを作るときに便利なのがアルミフレームです。木材で作るのであれば強度とか精度とかが出しにくいのですが、アルミフレームであれば簡単だったりします。組み立てもドライバー一本でできますので簡単です。
アルミフレームはNICやSUSのものがメジャーで、その他にもいくつか会社が出しています。でも規格化されたものではなく、各社各様で互換性がありませんので注意が必要です。確かに一部のパーツは流用できたりしますが、基本的に同じ会社の商品で揃えることをお勧めします。
私はモノタロウで買いやすいNICを使っています。NICのアルミフレームはモノタロウではミリ単位でカットして販売してくれますので、届いたらすぐに組み立て始めることができます。とても便利です。
今回の仕様について
今回作りたいラックの仕様は以下のようになります。
– 前後12Uが収容可能
– 前のラックレールから後ろのラックレールまで70cm以上
– サイドや上部にはパネル付けて機器をガードできるように
– ストッパー付きキャスターでとりあえず移動可能で、固定もできること
大体こんな感じで、価格重視というよりは見た目重視というかすっきり仕上げることを重視します。
パーツについて
まずはパーツリストを先に書きます。価格は税抜きですが変動すると思いますので参考までに。
分類 | 品名/仕様 | 価格 | 個数 | 購入先 |
---|---|---|---|---|
ラックレール | Middle Atlantic RRF12 | 2,800円 | 2ペア | サウンドハウス |
ラックフレーム | NIC AFS-2040-4-BK-485, 黒, 485mm, 幅40mm | 694円 | 4本 | モノタロウ |
NIC AFS-2040-4-BK-572, 黒, 572mm, 幅40mm | 819円 | 4本 | ||
NIC AFS-2020-4-BK-660, 黒, 660mm | 543円 | 4本 | ||
エンドキャップ | NIC ECP-2040-4 | 139円 | 4個 | |
ブラケット | NIC ABLD-20-4-N-T, 塗装無し, タップあり | 169円 | 16個 | |
中間ブラケット | NIC, AMB-04-BNH, 締結部品セット | 359円 | 2個 | |
アプセットボルト | NIC, APB-04-12-P50, M4, 50個セット | 599円 | 1セット | |
四角ナットセット | NIC, NHR-04-P50, M4, 各50個 | 879円 | 1セット | |
キャスター | ハンマーキャスター, 415E-R40 | 339円 | 4個 | |
小ねじ | エスコ, EA949TG-408, M4x 8mm, 黒色, 16本 | 170円 | 1セット | |
パネル | SPHC 黒皮, 2.3mm, 485mm×660mm, φ5.0mm-6ヵ所, R1 | 2,636円 | 1枚 | きりいた.com |
SPHC 黒皮, 2.3mm, 535mm×660mm, φ5.0mm-4ヶ所, R1 | 2,727円 | 2枚 |
ラックレール
ラックマウントのラックですのでラックレールが必要です。機器を取り付けるネジ穴がある部分ですね。DIY用にMiddle Atlanticがこの部分だけを提供しています。今回は12Uなので、Middle Atlantic RRF12となります。これは2020年2月15日現在ペアで2,800円(税抜き)です。前後に設置したいので、これを2ペア購入しました。
アルミフレーム
NICのアルミフレームですが、いくつかシリーズがあって使うネジのサイズがM4のM4シリーズを今回使っています。一番ネジのサイズが小さいものを使っています。これでも結構がっちりつくれます。
M4だと20×20の断面のサイズが基準で、幅を広げて20×40とか、20×60とかのフレームもあります。また40×40とかもあります。あと色もアルミのシルバー以外にも黒があります。
今回使うラックレールのRRF12の幅が39mmほどなので、真ん中でねじ止めすると20×20だとはみ出てしまいますので、20×40のものを主に選択しています。
20×40のものだと二本溝があって、39mm幅のラックレールを後方に取り付ければ、前面に10mmくらい余裕がでるので機器がきれいに収まります。またラックレールの周り以外は20×20を使います。
使ったアルミフレームは以下になります。色は黒を選択しています。
縦方向のアルミフレームは高さ3mmのエンドキャップを取り付けることを想定した寸法にしています。RRF12の高さは533.4mmで、交差するアルミフレームの高さを差し引くと571mmでも問題ありませんが、1mm余裕を持たせています。
またこの縦方向のアルミフレームですが、キャスターを取り付けるために追加工を選択して、タップ加工で、片端面タップを選択しても良いです。ちなみに私はタップ加工は自分でやっています。
結合パーツ
アルミフレーム同士をつなげるパーツは数多くあります。正直私もどれが良いかわかりません。でもいつも使っているのはデルタブラケットと呼ばれるものです。
デルタブラケットはパネルを取り付けるときとかにネジ穴がついているものを選べたり、色も黒が選べたり、何よりも値段が安いのが決め手です。スタンダードブラケットも安いのですが、これだと強度が心配なので今回のようなものには向かないし、あまり使う機会がないです。
NICのアルミフレームは、四角ナットとナットホルダーを組み合わせてレールに沿って入れて、締結ボルトで部品を固定します。この四角ナットとナットホルダーと締結ボルトはセットで購入が可能です。このセットがデルタブラケットをつけるのに必要なだけ入っている締結部品セットというのもあります。
私は面倒なので大抵締結部品セットを選ぶことが多いです。今回はラックレールも取り付けるので締結部品はその分も必要ですので、四角ナットとナットホルダーがセットになった四角ナットセットと、アプセットボルトを別途買うことになります。
キャスター
M4のアルミフレームで何か作るときはよく、ハンマーキャスターの415E-R40、ストッパー無しなら420E-R40を使います。ネジ穴の位置が40x20mmで相性が良いためです。
今回も415E-R40を使います。しかしこれは許容荷重が25daNしかありません。25daNは25.5kgぐらい乗っけても大丈夫といったスペックです。4隅に設置すると102kgくらい大丈夫ということになります。ラックマウント機材は普通重いですから前後12Uあるので足りない感じです。
正直もう少し大きめのキャスターの方が良かったのかもしれません。キャスターは許容荷重を大きくすると車輪径が大きくなります。高さが増えるのが嫌だったこともあり、強引に小さいままにしました。設置したら転がして移動させるといったこともあまりないので、壊れたら考えることにします。
パネル
今回パネルは上面と側面に取り付けます。オープンラックにした場合でも上面はパネルがあったほうが何かと都合が良いです。
上面の開口が485mm×660mmあります。結構大きいのでデルタブラケットにあるネジ穴だけだとたわみが多く出るので、660mmのほうにM4 中間ブラケット 04 タイプを設置しておきます。これの締結部品はちょっと違うのでセットで購入します。
どれだけ中間ブラケットを置くかですが、パネルの素材と厚みと上に乗せる重量によって変わってきます。今回は厚さ2.3mmの鉄板を利用するのですが、特に重いものは乗せない予定なので660mmの方だけにしています。
側面のパネルに関しては535mm×660mmとより大きな開口ですが、中間ブラケットはなしにしています。
またどれもデルタブラケットのネジ穴と合うように角10mmのところに5mmの穴を開けておきます。中間ブラケットのところにも5mmの穴を開けておきます。
こういった仕様のパネルはインターネットで簡単に注文することができます。私がお世話になっているのはきりいた.comです。図面を書いて見積もりをお願いすると仕様通りに作ってもらえて、値段もリーズナブルで、仕上がりの精度が高いです。
私はお手頃なSPHC 黒皮 平板(鉄板)を選びますが、ステンレス、アルミ、真鍮などバリエーションもあります。
組み立てについて
組み立てはプラスドライバーと六角レンチ3番でねじ止めしていくだけです。特に書くこともありません。詳しく書いてほしい場合はコメントをください。
キャスターは3つのアルミフレームを乗せるようにねじ止めすると3点しかねじ止めできない代わりに、構造を補強することもできます。でもキャスターが壊れることが不安であれば、40mm幅のところに設置した方が安全です。
ちなみに私は見た目重視で3つのアルミフレームを乗せるようにねじ止めしています。
まとめ
DIYでサーバーラックを作る場合は、よく木工でやられるケースが多いかと思いますが、アルミフレームを使うことで精度高く強度も出して組み立てられます。DIYだと見た目良く仕上げることが難しいことが難点ですが、アルミフレームだと誰でもきれいに作れます。
コスト的には今回のものは3万円程度で既製品の安いものを買うのと変わらないかもしれませんが、DIYだと自由なサイズで作れる利点があります。欲しいサイズのラックがないとお悩みの方にこのようなDIYラックをお勧めします。
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