企業という組織には組織目標があり、組織を構成する人々が協力し合って組織目標を達成する機能があります。マネージャーはこの組織を効率的に運営しなくてはいけません。そのために必要な原則が4つあります。ただしあくまでも原則であり、ケースバイケースで考える必要があります。
指令系統統一の原則
命令者は一人に特定する必要があります。部長が直接部員に指示するのではなく、部長が課長に課長が係長に指示して部員に命令が下りていきます。複数の上司から指示を受けて混乱するのは部下です。異なる指示が来た場合は部下は直属の上司に都度確認を行わなくてはいけません。
部長が効率が良いからと考えてか直接部員に指示を出すケースが良く見られますが、かえって部員を混乱させるだけで組織の効率を落とす結果となります。指令と報告は常に定められた一つのルートで行うべきです。
統制範囲の原則
マネージャーが直接統制できる部下の数には限りがあります。部下の数が多くなるほど、管理は難しくなります。
具体的な人数は仕事内容や地理的条件など職務環境の条件によって変わってきます。評価部門で評価手順書を元に作業指示を行うのであれば数十人規模でも管理できる場合がありますが、顧客要求に応じて都度異なるものを設計する設計チームを管理するのであれば多くて十人程度だと思います。
習熟度が高くて指示があまり必要がない部員が多い場合や、逆に習熟度が低く指示を多く必要とする部員が多い場合によっても統制できる数は変わってきます。
職務割り当ての原則
同じ種類の仕事をする者で、同じ組織を構成するという原則です。専門化と言ったりします。一つの職務に集中することが効率化につながります。これはライン生産方式の概念に似ています。
量産品を開発する開発部門の中のグループ構成もこの原則を当てはめることができます。しかし個別に受注開発を行うような場合は、セル生産方式的に多くの工程を一つのチームで行うという組織もあり得ます。
権限委譲の原則
前の「職務割り当ての原則」と密接な関係にあります。役割やノルマを設定したら、責任と権限の範囲を設定します。権限とは自由裁量の幅と創意工夫の幅です。
上司から責任を示され権限を委譲された部下は、自主性をもって職務に当たるはずです。部下の行動を都度管理するのではなく、業務の結果をマネージメントすることになります。部下の習熟度に合わせて責任と権限の範囲を設定し、部下ごとに行動管理と結果管理の比重を調整します。
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