信頼性を表す dependability と reliability と trustworthiness の違いについて

開発マネジメント

技術系にとって用語は大切で、用語の定義を理解していないと、聞いている話しが理解できないだけでなく、間違って使うと混乱を招いたりしますね。信頼性を表す言葉として、dependability と reliability と trustworthiness についてまとめてみます。

Dependability

システムに dependability があると、私達はシステムに対して信用することができます。ポイントはシステムの単体の機能・性能だけを見ているのではないことです。システム以外の周辺のサービスも含めて我々が信用できると判断できることです。

IEC TC56 Dependability

IEC TC56 自体が dependability を扱っていて、その定義は以下のようになります。

Dependability covers the availability performance and its influencing factors: reliability performance, maintainability performance and maintenance support performance (including management of obsolescence).

直訳すると、「Dependability は稼動性能とその影響要因(信頼性、保守性、保守サポート性(陳腐化管理を含む))を含む。」ということで、きちんと動いて機能を満たすということだけでなく、信頼性とか保守性であったりもそうだし、長い運用期間に起きえる事態を支える体制も含んで、dependability は判断されるわけですね。

Reliability

システムに reliability があると、システムはある条件下である期間は故障することなく期待通り正しく動作します。

一般的な定義は以下です。

the ability of an item to perform a required function under given conditions for a given period of time

かなり古くからある言葉ですね。

車とか機械は故障することは普通のことですが、そういった故障などの特性を扱っています。故障率とか定量的なものになります。

HDDは長期間使用していると徐々に reliablity は低下してしまいますが、RAIDを組んで運用することで dependability を保持することはできます。

ちなみにソフトウェア品質に限って言えば reliability の下位には、maturity(成熟性)、fault tolerance(障害許容性)、recoverablity(回復性)、compliance(標準適合性)があります。ここら辺はISO/IEC 9126を参照ください。

Trustworthiness

システムに trustworthiness があると、システムは信用される品質を持っています。セキュリティ面などの議論などで最近良く耳にするようになりました。

一般的な定義はこれといったのがありませんがISO 17068では以下のように定義しています。

quality of being dependable and reliable

システム自体の品質であることが、dependabilityとは異なることと、reliabilityよりも広義となり様々な面で品質を捉える必要があります。

Trustworthiness がカバーする範囲は非常に広く、安全性、セキュリティ、信頼性、匿名性、誤り耐性など多岐に及びます。

最近は人手を介さずにシステムが連携するような system of systems が広がり、システム単体の trustworthiness がないと、スマートシティとかスマートグリッドとかかでは dependability が担保できないのかもしれないですね。

まとめ

Dependability はシステム単体で話すことはできなくて、その運用面などを話さなくてはいけません。Reliability は故障率など定量的なもので表現できるシステムの品質特性のひとつです。Trustworthiness はシステム自体の品質ですが、カバーする範囲が非常に広いです。

Reliability は trustworthiness の沢山ある特性のひとつですし、dependability のシステム部分の特性のひとつです。Dependability は広くとらえることができて、結果的にtrustworthiness を含むともいえます。Trustworthiness には保守・運用の話は入りませんので、dependability よりも狭い意味になります。

Dependability は保守・運用に頼って信頼性を確保することができましたが、trustworthiness の場合それが許されないということもあったりします。Trustworthiness を議論すると結局 dependability のエリアも必要になったりして、この二つの境目はきっと人によって解釈が異なることでしょう。

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