ヒューリスティックスとバイアスを考慮して冷静に判断する

ラテラル・シンキング

決断が早いことは何かと良いこととされる傾向があるのですが、早い決断には間違いがつきものです。当初良いと思っていた案も検討を進めるうちに穴がたくさん見つかったり、時間をかけて多くの人の意見を聞くことによって案に磨きがかかることの方が多かったりします。なによりも判断の根拠が明確になってきます。

ワンマン経営者であれば自分の経験に基づいて論理的根拠がなくても即時決断を下し、当たれば時間的アドバンテージも得ることができますし、経験豊かであれば確率的にもある程度高く効果的であることも多いですが、それは判断が誤っていても誰からも責められないからできることです。

通常は判断に問題があった場合、どうしてあの時にそのような決断を下したのかと上位マネジメントに問いただされて論理的に説明できない場合は、責任を追及されることになります。持ち帰って考えられるときは決断を急がず冷静に判断することが必要です。

でも冷静とはどういったことでしょうか。感情的にならないことだけが冷静というわけではなく、判断に影響を及ぼす色々なヒューリスティックを考慮しバイアスを取り払って物事を見直すことで冷静な判断ができるようになります。

ヒューリスティックス(Heuristic)

ヒューリスティックスは直面している複雑な問題解決をしたり、不明瞭であることに対して判断を下す必要がある場合など、明確な手がない場合に用いられる方法です。平たく言えば直感や感情を手掛かりに物事を判断することです。経験則もこれに含まれます。

ヒューリスティックスは判断が非常に速くできるのですが、必ずしも正しいわけではないです。

利用可能性ヒューリスティクス(Availability Heuristic)

記憶に残っているものほど、その頻度や確立を高く見積もる傾向のこと。真っ先に思い出した事柄を優先的に評価してしまいます。CMはこの効果を期待して、民衆の記憶に残るように訴えます。

代表性ヒューリスティックス(Representative Heuristic)

一部の少ない情報をもとに全体を判断してしまう傾向のこと。一部の成功事例を聞くことで、あたかも同じ方法をやれば成功できると思い込むことです。数人が株取引で成功しているからと言って、全員が成功できるわけではありません。

感情ヒューリスティクス(Affect Heuristic)

好き嫌いの感情をベースに判断をしてしまう傾向のこと。ペットを選ぶ場合などはそれで良いかもしれませんが、それをあたかも論理的であるかのように錯覚してしまう傾向にあります。感情に基づいて思い付きで判断したのに選択理由を後付けして正当化してしまうことはよくあります。

再認ヒューリスティクス(Familiarity Heuristic)

聞いたことがあり知っているものは、聞いたことがないく知らないものと比べると、聞いたことがあり知っているものを高く評価する傾向のこと。ブランドを選ぶ傾向がこれにあたります。

認知バイアス(Cognitive Bias)

認知バイアスとは、人間が何かを観察し評価するときに陥りやすい誤りです。

後知恵バイアス(Hindsight Bias)

起こったことに対して、それを予見していたかのように思う傾向のこと。「やっぱりね。あの時そう言ったよね。」というセリフを良く聞きますが、なぜそうなると思ったのか具体的な考えがあったわけでもないことが多いはずです。

確証バイアス(Confirmation Bias)

一旦自分の意見を決めるとそれに好都合な情報しか見えなくなる傾向のこと。経済評論家などが、一度日本経済が崩壊すると言い出してそれに好都合な情報を見つけて、それ見たことかとそれらしく主張するのですが事実とはかけ離れていたりします。

アンカリング(Anchoring)

最初に見たものが基準となってしまう傾向のこと。インターネットショッピングなどで通常小売価格の80%オフなど常時書いてあることもあるのですが、通常小売価格がアンカーになって販売価格を安く判断してしまう傾向などです。最初の数字の妥当性を判断する必要があります。

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