プログラムとプロジェクトを同じような意味として用いられるケースがあるのですが、この二つは別物です。目的があって、その目的を達成するためにプログラムが形成されます。そこで分割された目標に対して、プロジェクトを形成してその目標を達成していきます。
アポロ計画(Apollo program)は月に人を着陸させるといった目的の元に作られたプログラムであって、打ち上げ計画を定めて、ロケット開発のプロジェクトだったり、宇宙飛行士の訓練プロジェクトだったりを進めることになります。
目的と目標の違いをまず理解する
プログラムが目的のためにあり、プロジェクトが目標のためにあります。しかし目的と目標の違いをしっかり認識していないと分かりづらいと思いますので、まずはここから説明したいと思います。
目的とは実現したいことです。企業であれば、お客様に商品やサービスを提供することとかでしょう。目的はこのように結構漠然としていて抽象的なものです。
目標とは、目的を達成するために定めた状態のことです。ここでは具体的に、来年までにコストを30%削減できる技術を開発するとか、商品AのためにFW開発を年内に終えるとか、が目標になります。
目的はひとつですが、目標は変えることができます。自社のFW開発が目標を達成しないのであれば、他社から買ってきても目的に対して前進できます。
目的から目標を定め管理するのがプログラムマネジメント
商品を提供するという目的に対して、発売日をいつにして、価格はこれくらいで、こういった性能や仕様など目標を定め実行に移し管理するのがプログラムマネジメントです。
もちろん企画部門であったり、経営層が意思決定をするのですが、目的に対して定めた目標が計画通り実施できるように管理する仕事のことです。プログラムにはビジネス的側面も含まれています。
プログラムはプロジェクトを管理する
商品は沢山あるので、プログラムマネジメントチームは沢山作られるでしょう。そして、プログラムの中では、試作して、型を作って、基板を作って、ソフトウェアを作って、部品調達して、箱やマニュアルを作って、工場のラインを調整して、倉庫の準備をしてなどなど様々なプロジェクトを発足させることになります。
こういったいくつものプロジェクトを滞りなく実行させて、プログラムというのは成立するものです。そこを管理するのがプログラムマネージメントになります。
プロジェクトにも規模があって、ソフトウェア開発にもOS開発のプロジェクトや、UI開発のプロジェクトなど、下位にも階層的にプロジェクトが形成されます。これらプロジェクトにはそれぞれ具体的な目標が設定されています。
プロジェクトが集まればプログラムというのは誤り
プログラムとは複数のプロジェクトで構成されたものという説明は、必ずしも正しくありません。プロジェクトも複数のプロジェクトで構成されます。
例えば、ソフトウェア開発をしていて同じ機能のモジュールを横断的に様々な商品に提供していたとします。商品スケジュールに合わせてモジュール提供するのは明らかにプロジェクトです。
他の商品にもカスタマイズしたりして提供するといったことを全体的に管理して、リソース配分しながら、継続的に提供し続けられるようにすることもプロジェクトマネジメントの範囲になります。一つの商品に対して遅れを出しても、他の商品には直接的に影響しないことがポイントです。
プロジェクトがまとまってもプロジェクトのままで、プログラムは必ず目的に対して行われることです。またプログラムは複数のプロジェクトを管理し、オプションのプロジェクトもあるでしょうが、主要なプロジェクトを全てを成功させてはじめて成果が得られる活動のことです。この違いをはっきり認識しておく必要があります。
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