Lateral Thinkingは水平思考と訳されますが、この訳のせいで何か難しそうに思えるのですが実際は全然難しくありません。水平というよりも、制約を一旦無視して考えることです。このラテラル・シンキングはマルタのエドワード·デボノが提唱したもので、既成の理論や概念を飛び越えて新たな発想や解決策を導くのに活用します。
上り坂で渋滞しているときに前の車が下がってきたら
渋滞した上り坂で前の車が突然少しづつ下がってきて、右にも左にも逃げることが出来ない場合はどうしますか?ロジカルに考えればクラクションを鳴らして前の車のドライバーに停止してもらえるように促すことと、何とかして前の車との衝突を避けることでしょう。
でも相手の車は故障して止まりたくても止まれない状況なのかもしれません。この状況で何とかして衝突を避けるために後ろに下がったとしたら前の車との距離がより開いてしまい、結果としてより加速して速度が上がった状態で衝突してしまうことになります。
そうなるくらいだったら前の車にギリギリまで前進して距離を詰めて停車することで、加速による衝突の衝撃をより抑えることができます。運転技術があれば距離を詰めて、相手より遅いスピードでバックしながら接触しブレーキを踏んで二台とも停車することもできるかもしれません。後の保険の処理を考えれば止まっていたほうが有利とかも考えられます。
このようにラテラル・シンキングを使うことで、最悪のケースは免れることができることになります。
技術の活用方法をラテラル・シンキングで発案する
ロジカルばかりに思える開発でもラテラル・シンキングを多用します。例えばOCR技術とはビットマップの画像になっている文字を認識する技術ですが、100%正しく文字を認識することはできませんのでビットマップ画像から正確にテキストファイルを作ることはできません。必ず人が目で見ながら確認し校正する必要があります。
でもやりたいことが文書サーバーに書類を保存しておいて後から閲覧するためにどうしても検索機能が欲しいということだった場合、果たして100%の識字率が必要でしょうか。多少結果がおかしくても検索された画像を人が見ることで確認ができますし、なにより検索したいという要求を満たすことが出来ます。
このように一見完璧でない技術でも様々な用途がラテラル・シンキングを使うことで発案できます。ある目的があって技術開発を初めて、そこで出来上がったものがその目的を完全に達成できなくても、元の目的とは違う目的に適用することで非常に大きな価値を生み出すことはよくあることです。
制約を無視して発想する
上り坂の例では、衝突を避けるという制約を外してあげることで、より被害の少ない方法を思い付いています。OCRの例では、識字率は100%でなくてはいけないという制約を外して、低識字率でも利用できる用途を思い付いています。
このように制約を意図的に無視することで、さまざまなアイデアを生み出すことができます。ロジカル・シンキングのように順序立てて考えを詰めていく方法だと発想できないようなことも、ラテラル・シンキングを使うことで発想することができます。
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