顧客ニーズの本質を求めると顧客満足が得られないことがある

問題解決

マーケティングで有名なTheodore Levitt教授の言葉に、”People don’t want to buy a quarter-inch drill. They want a quarter-inch hole.”というのがあります。「人々は1/4インチのドリルが欲しいのではなくて、1/4インチの穴が欲しかっただけだ。」と顧客ニーズの本質を見る重要性を説いています。

開発の立場でも実装方法にとらわれず本来のニーズがなんであるのかを考えることは重要なことです。ただ顧客が具体的な機能要求をしている場合は様子が少し違ってくることがあります。

顧客要求が具体的な機能の場合

以前よりあるシステムを顧客に納品しているとします。顧客のシステム管理者はそのシステムを長年使いある程度の知識があります。使っているうちに状況が変わり、今の機能だと不十分になってきました。このシステム管理者はある程度の開発知識があり、今ある機能を修正する方法を思い付き具体的な変更について要求してきています。

理想的にはLevittの言う通りニーズを探る

ここでシステム開発側はLevittの言っているように顧客のニーズは何なのかを考える必要があります。変更要求の後ろには具体的な問題があるはずです。何が不十分なのか詳しく調べる必要があります。

また問題の解決方法は具体的な設計ポリシーや実装を知らない顧客ではなく、設計者が解決方法を提案すべきで、顧客の本当のニーズを探るためのコミュニケーションに時間を割き、問題を十分に理解したのちに設計変更案を議論すべきです。

探ること自体が厄介なことがある

依頼元が社内であれば簡単ですが、社外の場合には変に根掘り葉掘り聞きだすことは、情報開示できな領域だったりもして、変に聞き続けると反感を買うケースも多かったりで、デリケートなことであったりします。

情報開示が出来ないから具体的な設計案を提示してきている場合だってあります。またニーズの話に戻ることは顧客からすると手戻りになり心地よい作業ではありません。

言われるがままという選択肢

一方で顧客に言われるがままにすぐに設計変更して、影響を評価したうえで納入するということもできます。後でニーズを満たせないケースや不具合がでて再度設計を見直さなくてはいけないこともありますが、実は顧客の満足度はこの方が高かったりもします。

しかし最終的に醜い実装になって、メンテナンスが難しいものになったりもします。ただこれは実装者都合です。

顧客が更に長期間システムを利用してくれる保証がないのであれば、多少のメンテナンス性は犠牲にして顧客満足を勝ち取って次の開発案件を獲得したほうがビジネスの面で有利と考えることもできます。

本当のニーズを探ることは極力やるべきですが、このような場合は顧客の反応を見ながらどこまで聞き出しを続けるべきかか判断する必要があります。

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