PDCAサイクルで考えて業務を進めることは、ある意味基本だと思います。PDCAサイクルは歴史があり、ISO9001などの国際規格などで標準として取り入れられています。
しかし、PDCAサイクルというプロセスを回すことが難しくなることがあるのも事実です。そういった場合にSTPDサイクルを取り入れてみることでブレークスルーすることがあります。
STPDサイクルとは
STPDサイクルとは、See(把握する)、Think(考える)、Plan(計画する)、Do(実行する)を繰り返すプロセスのことです。PDCAサイクルは世界共通なものですが、STPDサイクルは日本だけのローカルなものです。
See
まずは現状を正しく認識することからスタートします。客観的なデータを集めることが始まりになります。そうすると自ずと課題が見えてきたりするものです。
Think
集めたデータからみえてきた課題に対して、要因を考えます。そして対策を導き出します。いきなりアイデアに飛びつくのではなく、時間をかけて考え抜くことです。場合によって、Seeに戻ることも大切です。
Plan
Thinkで決めた方策を5W1Hで実施計画書などにまとめます。Thinkができていれば、Planは特に悩む必要はありません。
Do
計画に沿って実施します。
STPDサイクルが適しているとき
課題が分かっていて何をすべきかも分かっていて、少ない時間をやりくりして少しずつ改善したいのであればPDCAが圧倒的に適していますが、恒常的に実施しているような業務ではなく、何か新たなことを始めた初期においてはPDCAサイクルというよりも、STPDサイクルが適切なことが多いです。
PDCAサイクルでは客観的な数値をKPIとしてデータが取れることを前提としています。PDCAがうまく回せない場合のほとんどが、ここでつまづきます。どのようなKPIにするか、ちょっとだけセンスが必要なところで、だれでも使いこなせるものでもなかったりします。
STPDサイクルではSeeで十分にデータを収集してから、Thinkで分析しますので、時間をかけて考えることで当初思っていたポイントではないところに課題が見つかったり、結果として早く改善に至ることが多いと思います。
CheckがないSTPDサイクル
STPDサイクルの危険なところは、SeeからThinkで得られた対策が必ず効果を発揮すると考えてしまっているところです。
人間の考えることなんて完璧ではなくて、確認しながら現実との差から軌道修正しないといけないのは当たり前です。PDCAサイクルはこれを盛り込んでいますが、STPDサイクルでは考慮されていません。
STPDサイクルだと、Doで実施したらそれまでです。運よく次のサイクルも行って始めて前の対策がまずかったことが分かるのでは、プロセスとして不完全と言わざるを得ません。
このSTPDサイクルの欠点を補うために、DoのステップでDoとSeeを細かく実施し軌道修正できるようにするなどの工夫が必要になってきます。
人によって適性がある
PDCAサイクルでは、KPIを定める難しさはありますが、一度決まるととりあえず効果がありそうな対策をうってみて、効果がないならやめるということもできます。
なのでPDCAサイクルというのは実は高速で回せます。立ち止まって考えるというよりも、走りながら考える感覚です。
一方STPDサイクルの場合は、どちらかというと頭で考えることに重きを置いています。しっかり立ち止まって考えることが、結果として早道になることも多いことも事実でしょう。高速でSTPDを回すと失敗しやすい理由がここにあります。
でもこれって実は人によって得手不得手というか適性があることとも言えます。人によってはPDCAサイクルの方がしっくり来るし、人によってはSTPDサイクルの方がしっくり来るということがあると思います。
まとめ
PDCAサイクルもSTPDサイクルも所詮は業務を進めるためのツールにしか過ぎません。どっちが良いとか悪いとか、そういったことではなくて、それぞれの特性を理解したうえで、状況に応じて使い分けられることが必要です。
マネジメントの技量が高いのであればセンス良くKPIを決めて様々な角度からPDCAを回させる方が確かに良いのですが、実際にはなかなか難しい場合もありますからとりあえずSTPDというのもありだと思います。
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