互換というと「互いに取り換えがきくこと」といった意味ですが、互換性というのは性質ですから、機械やシステム、ソフトウェアがもつ「互いに取り換えがきく」性質ということになります。
Compatibility の意味は広すぎる
互換性の英訳は compatibility が一般的ですが、compatibility の方が日本語の互換性より概念的には広い意味があると思います。ざっくり表現すると、共存できるという意味です。
実際に英和辞典を引くと、compatibility は適合性、両立性、互換性と訳されています。日常会話での英語だと、適合性といった意味で使うほうが主で、日本語の互換性といった意味で使うのはエンジニアくらいかもしれません。
技術的な議論をする上で、広い意味の言葉は誤解を招きやすいので好ましくありません。Compatibility が単に他のシステムに悪い影響を与えないといった意味で使われているのか、他のシステムと置き換え可能といった意味で使われているのか分からないことになりかねません。
そうはならないように、interchangablity や interoperability を使い分けて、これらに当てはまらないものが compatibility を選択するのが一般的でしょう。
交換可能な Interchangeability
他のものの代わりになる、他と交換可能なのは interchangeability と表す方が良いです。
ただしこの場合可逆である必要があります。AはBとinterchangeability があるのであれば、BもAと interchangeability があります。
Compatibility はどちらかというと一方方向の場合に用いて、後方互換、前方互換、上位互換、下位互換と言った 交換可能な方向を限定する場合となります。
Compatibility でも可逆であっても構わないのですが、使い分けることが多いです。
適合性や両立性は interoperability
Compatibilityの主な意味である適合性や両立性に絞って表現したいのであれば、interoperability としておけば誤解が生まれません。
両方を同時に動かしても問題なしといった感じですね。連携して動く必要は無かったりします。
まとめ
日本語の互換性も、英語のcompatible に引きずられてか、「このカートリッジはあのプリンターと互換性がある。」といった表現もあったりします。でも正しくは適合性があるで、互換性があるのは純正カートリッジとだったりします。
語彙が少ない日本語で話す場合はどうしようもありませんが、英語では compatibility と interchangeability と interoperability を使い分けることで、誤解を生まない表現ができます。
こういった日本語に細かな区別がない言葉は、日本人が英語を喋るときに使い分けづらいので、ちょっとした慣れが必要です。
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