デール・カーネギーの人を動かす3原則

コーチング

あなたは部下がミスをしたりパフォーマンスに不満足な場合、文句を言ったり叱ったりして、それでどれくらい改善されたでしょうか。大抵のひとはたとえ叱られたとしても、自分が間違っているとは思っていません。自分が正しくてあなたが間違っていると思っています。ですので実際に改善されることは稀です。

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デール・カーネギーの「人を動かす」の最初の章が、人を動かす三原則です。

  1. 批判、非難や文句を言わない(Don’t criticize, condemn, or complain.)
  2. 正直に誠実に褒める(Give honest and sincere appreciation.)
  3. 強い欲求を起こさせる(Arouse in the other person an eager want.)

日本語版の訳は私には多少違和感があるので自分の訳を使っています。

批判、非難や文句を言わない

アメリカ人の彼がこれを言うのはすごいと思いますが、日本人からすると当たり前のことでしょう。アメリカでは積極的でアグレッシブでなければビジネスの世界で生き残れないところがあります。このような社会の中で一歩引いて謙虚でいることが人を動かすことの第一の原則となっています。

ここを説明している原書の見出しを訳すと「蜂蜜を集めたければ巣箱を蹴とばすな」です。相手の嫌がること、怒りを買うようなことをすると、欲しい結果が得られないということです。

怒りたい欲求を満たすな

何かあるとすぐに怒り出し、挙句の果てに「本当は批判したり非難したりなんてしたくはないんだよ。でも君のためを思って言っているんだ。」のようなセリフを耳にすることがあるともいますが、これは明らかに嘘です。成り行きを考えずに自分の怒りたい欲求をただ満たしたかっただけです。何とも幼稚な行動でしょうか。

この気持ちは親ならわかることです。自分の子供に対して「何度言ったらわかるんだ」と何度怒りたい気持ちになったことか。それは子供のしたことに対して、叱ったり文句を言いたい自分の欲求に対する衝動です。叱ったり文句を言うことで自分は欲求が解消されてスッキリするかもしれませんが、効果は少ないのが現実です。この親としての経験は部下にも適用できます。

自分は間違っていない

大抵の人は自分が間違っているとは思っていません。常に自分が正しいと考えるのが人間の心理です。なので批判されたり、非難されたり、文句を言われたときに素直に受け入れることが出来ないのです。

自分の親ならまだしも、親でもない人から批判されたり、非難されたり、文句を言われたらどうでしょうか?怒りや嫌悪感だけが残るのではないかと思います。

残念ながら叱ったほうが正しくても、正しい間違っているの次元の話ではなく、感情的な事実として人はそのように感じるということです。殺人犯であっても自分が正しいと思っています。このことを理解しておく必要があります。

正直に誠実に褒める

褒めることが大事なことは子育てでは当たり前のことですね。自然に出てくる賛辞もあるのですが、意識して積極的に褒めることが必要です。人は褒められることで自分の承認欲求が満たされます。そしてもっと褒められたいと積極的に行動してくれます。

カーネギーは人に動いてもらうためにはこの方法以外にないと言っています。命令してやらせるのではなく、自分からやりたいと思わせることです。

自分のために働く

人は欲しいものを手に入れるときは積極的に行動します。人を動かすには、人の欲しがっているものを与えればよいわけです。欲しいものを与えてくれる人の指示は受け入れられて行動してくれます。

結局人は自分のために働くのです。なので直接的に指示をして強いるのではなくて、ヒントを与えつつ自分で考えさせて自分が自ら考えて行動しているように思わせるように導くのです。そしてそれを褒めることで自ら進んで行動したいと思わせるように背中を押すのです。

褒めてくれる人が好き

色々ある欲求の中で唯一容易に満たされない欲求は「自己の重要感」です。フロイトの言うところの「偉くなりたいという願望」、デューイの「重要人物たらんとする欲求」のことです。

なぜ容易に満たされないかというと他人が必要だからです。周囲の人から褒められたり、評価されない限り満たされない欲求だからです。

実はやり方は簡単です。「すごい!」とか「さすが!」とか言葉にして褒めてあげるだけです。家族でも職場でも、人を動かしたいのであればこのように「自己の重要感」を感じられるようにしてあげればよいということです。

強い欲求を起こさせる

力づくで人を動かすのではなくて、相手が自らの欲求により動くようにさせることが重要だとカーネギーは言っています。ただこれは簡単なことではありません。

相手の立場になって考える

「相手の立場になって考えろ」とよく言われ続けてきましたが、その通りですがこれは難しいことです。相手のことをよく知らないといけません。自分中心的な考えではなくて、相手のことをよく知ったうえで、相手が欲しがっているものを把握して、それを刺激してあげるのことで相手に強い欲求を起こさせることができます。

自分の話をしない

人は自分の話をしたいし聞いてもらいたいと思いますが、人は本来他人の話には関心や興味がありません。さらに相手に強い欲求を起こさせることは難しいことです。相手の立場に立って、相手の話を聞いてあげるところからスタートして糸口を見つけるようにしたいところです。

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