現状把握では単に現状を知るのではなく、選定したテーマに対して攻めどころを見つけることを目的とします。現状を調べることで、プロセスやシステムのどこを改善すべきかを特定していきます。「ばらつき」に着目することがコツになります。ただデータが十分にないと「ばらつき」を把握することが難しくなります。場合によってデータを収集するところから開始する必要があります。
結果の「ばらつき」を発見する
管理特性の結果データを、いろいろな角度から層別を行ってみて図や表にしてみます。そのなかから「ばらつき」を見つけて攻めどころを決めます。
どんな結果にも「ばらつき」が発生しています。入力とプロセスがあって出力(結果)が生じます。良い結果を生み出すプロセスを見つけるために、結果の「ばらつき」を発見する必要があります。プロセスが見つけられれば、問題解決の手掛かりとなります。
注意点
客観的にデータ重視で
そもそもデータも見ないで先入観だけで判断するのはもってのほかです。誰が見ても明らかなようにデータで示す必要があります。
定性的よりも定量的に
定性的な場合、具体的な程度が見えません。定性的なものは極力定量的に示すことが必要です。
一つの層別方法に固執しない
初めに思い付いた層別が最適であることは少ないです。いくつもの層別方法を試す必要があります。ここで手を抜くと今後の活動自体の効果が弱くなります。層別の方法としては、4M2S(Man, Machine, Material, Method, Space, System)や4W1H(What, WHo, Where, When, How)などが一般的です。
「ばらつき」のパターン
「ばらつき」はその問題発生から時系列的に見て、突発型、変動型、慢性型の3つのパターンがあります。
突発型
今まで良かったのに、急に悪くなった場合です。プロセスに変更があったり、担当が変わったりで急に悪化する現象が該当します。
今まで良かった条件が、何らかの原因により悪化しているので、要因ごとに、良かったとき、悪くなった後で状態を比較して、要因を特定していきます。
変化の要因を見つけ出すためには、現場・現物を観察することが最も重要です。
調査を行い、現場重視で要因を見つけたならば、要因をそれぞれ極力もとに戻していきます。そこで改善されたならば、それが原因であったといえるでしょう。
変動型
時に良かったり、また悪かったり、一定せず「ばらつき」が大きいケースです。例えば工数見積もり精度などです。条件が何らかの原因で変動しています。このケースも良かった時の条件と悪かった時の条件を調べて、要因を選び出します。
選び出された要因に対して、実験、調査や解析を行い、結果に対して相関の高い要因を探し出します。その中で最も結果に影響を与えている要因を特定します。
慢性型
絶えず悪い状態で良いことがない、常に目標未達が続いている状態です。
この場合は何らかの工夫や新技術の導入などが必要になってきます。別にイノベーションを起こす必要はありません。競合から学んだり、ほかの業種に学んだりすることで、新たな知恵や発想を取り入れていくことが重要です。
いくつかの改善策を評価して実験から選びます。
次のステップ
現状把握ができれば、次のステップの活動目標の設定に進みます。
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