我々は日常的に「問題」とか「課題」という言葉を使っていますが、問題とは辞書的には、
- 解答を求める問い
- 批判・論争・研究などの対象となる事柄
- 困った事柄
- 世間が関心をよせているもの
となりますが、「問題」とはゴールと現状のギャップであるといえます。
ゴールとは「あるべき姿」「望ましい状態」「期待される結果」であって、現状とは「実際の姿」「実際の状態」「実際の結果」ということです。
ゴールと現状に食い違いやズレがないのであれば問題がないといえます。ゴールが明確でないのであれば、問題自体がぼやけてしまうことになります。ゴールはまず企業目標があって、事業部目標、部門目標、課目標のようにブレークダウンして具体的に示されている必要があります。
問題のタイプ
「問題」には、発生型問題、探索型問題、設定型問題の3つのタイプがあります。問題のタイプによってアプローチが異なってきます。
発生型問題
発生型問題は、すでに起きている問題です。品質不良が発生したり、クレームが発生したり、目標の未達などです。
発生型問題は「あらかじめ定めた基準や規則からずれてしまった」という問題と、「予定の目標や課題が達成されなかった」という問題に分かれます。前者を逸脱問題、後者を未達問題と呼びます。
逸脱問題
正常値や基準値からずれた場合の問題です。不良品率が1%未満という基準に対して、それを上回った場合の問題などです。
未達問題
計画した目標、課題などを予定の期日までに達成できなかったとか、達成できそうもない場合の問題です。
探索型問題
探索型問題は、現状では特にギャップは発生していないが、それをもっと良くしたいというものです。このまま放置しておいても問題が発生しなかったり、気づかなければいつまでたっても現れなかったりします。しかしこれを怠っていると、他社に先を越されたりして発生型問題になることもあります。
探索型問題は「現状を見直し改善する」という問題と、「より積極的に強化・充実する」という問題に分かれます。前者を改善問題、後者を強化問題と呼びます。
改善問題
医師から概ね健康だけど、ほんの少し血圧が高いので塩分を控えるようにとか指摘されるのは、今よりも健康状態を改善するという問題です。欠点をなくすようにするものです。
強化問題
強化問題はバッティングがうまい野手が、飛距離アップのためにウェイトトレーニングを取り入れるというのは強化問題になります。長所をさらに伸ばすようにするものです。
設定型問題
設定型問題は、新規事業開発で想定される問題のように、未来の条件下において問題をどうするかというものです。探索型問題が過去から生じた問題であるのに対して、過去とは無関係に設定されます。
設定型問題は「新規業務の開発に伴い生じる」という問題と、「将来の様々な危険をよそうして準備をしておく」という問題に分かれます。前者を開発問題、後者を回避問題と呼びます。
開発問題
事業の多角化や合併、提携、合弁などの事業の再構築や、海外事業展開や海外工場建設などの、新規の開発に伴う問題です。
回避問題
自然災害や疫病、戦争やテロ、新たな競合の出現など、様々なリスクに対応するための問題です。損失を最小限に食い止めるという課題になります。
問題と課題
上では「問題」を3つに分類しましたが、問題は現在起きている、過去に起きたことに対してであって、未来に起きることであれば「課題」ということもできます。発生型問題は狭義の「問題」で、探索型問題と設定型問題は「課題」であるといえます。
問題解決のアプローチ
「問題」には「解析的アプローチ」を、「課題」には「設計的アプローチ」を使います。
解析的アプローチ
実際に起きている「問題」には、問題を解析して因果関係を明らかにすることによって対応する「解析的アプローチ」を使います。結果から理論的に、その問題を発生させた原因を特定し、その原因に対して対策を行うことで問題を解決する方法です。
設計的アプローチ
まだ実際には起きていないが、将来に向けてより上を目指す「課題」には、ゴールを設定し、そのゴールに向けて全く新しい手法や機能を創造する「設計的アプローチ」を使います。まずは実現したい目的を明確にし、それを達成するための手段を複数考えて、目的に最も適切な手段を選択します。アイデアは多いほどよく、将来への展望や、深い発想などからくる創造性が求められます。
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